ENDLESS
なんでもない音楽
なにも表さない音楽
でも一途な音楽
そこになにが映るかは
ひとそれぞれ
この曲はおそらく笛部史上最大級のスケールでの演奏でしょう。リコーダーのほかに、ドラム、ベース、キーボード、ピアノ、トライアングル、スズが入ります。リコーダーのソロに始まり、曲が進むにつれ次々と色々な楽器やハーモニーが増えていき、ひとつの音楽になっていくという構成です。この曲の構想を考えるときに、まず主題となるメロディーが浮かんだのですが、そこから先が大変でした。自分で考えたメロディーのはずなのに、そのメロディーが何を表しているか、そのメロディーで何を表せるのか分からなかったのです。無知ながらどことなくアイルランド古謡を思わせるメロディーだとは思ったのですが、なかなかその先に進めず、しばらく頭痛に見舞われました。結果出た結論は、人間には喜びや悲しみなどのような言葉では表せない感情があって、それこそが人間を芸術や音楽、また生きることそのものに向かわせる原動力になるんじゃないかということでした。そして「言葉で表せない感情」の音楽的答えとしてこの曲を位置付けようと思いました。だから、メロディーには透明感のある完全5度のハーモニーをつけ、伴奏もどちらかと言うと淡々と同じリズムやメロディーを刻むようにしました。言葉で表せてしまう感情を出来るだけ排除して、残ったものを感じてほしいという狙いでした。この曲を聴いた人が、意味のわからない興奮を覚えたり、説明のつかない涙を流したりしたとしたら成功だと思います。
MIDIファイルのダウンロードはこちら
topへ