富士山登頂
2007年8月




<集合〜五合目>

 先週末は、富士山に登った。メンバーはシゲオ、ミヤザキ、ケージ、シュウヘイ、メグ、ユキちゃん、嫁、私の8人である。土曜日の朝9時に大学に集合し、シゲオと私の車で富士山に向かう予定であった。

 富士山に登るとは言っても、屈強な人間はシゲオくらいであり、他は決して体力のある人たちではない。富士山に登るとは言っても、途中まで行って帰ってくるくらいの気持ちで考えていた。

 前日から、嫌な予感がしていた。何となく、富士の麓にすら着けないのではないかと思った。

 当日朝6時に起床し、大学に向かった。運転中、もうひとりの運転手であるシゲオに電話すると、なんと車がパンクしたらしく、タイヤ交換中だという。シゲオはなんとか集合時間には間に合いそうだと言っているが、怪しい。

 そうこうしているうちに、こちらも渋滞が酷く、間に合いそうになくなってきた。急遽集合時間を10時に変更し、私達は9時半頃大学に到着した。そして10時頃、シゲオに電話すると、なんと道に迷っているという。到着は11時頃になるであろうとのことであった。

 ふとメンバーを見渡せば、皆一様に表情が冴えない。特にメグは相当不安らしく、気が焦っているように見えた。ここでのんびりシゲオを待っていたら間に合わない、一刻も早く出発せねばという気運が高まってきた。急遽レンタカーを借り、シゲオとは現地集合ということになった。

 レンタカーを借りて、さあ出発というところで、シゲオが到着した。一日半借りるはずだったレンタカーは20分ほどで返却され、シゲオは皆から一斉に非難を浴びた。


<五合目〜八合目>

 何とか富士の麓に着き、シャトルバスで五合目まで向かう。五合目で変なラムネ(わさびラムネ、カレーラムネ、杏仁ラムネ)を飲んだ。

 この時、ミヤザキの持ってきたポテトチップスがパンパンに膨れていた。気圧が低いためである。ミヤザキは荷物が一杯らしく、このポテトチップスをパンパンのままユキちゃんに持たせて出発した。


左:登山前の元気な姿          右:五合目の変なラムネたち

 六合目までは、すぐに着いた。七合目も、割と平気であった。八合目は、今夜泊まる山小屋があるところである。この調子で行けば、予想以上に早く八合目に着くと思われた。しかし、八合目と思われる場所を目指している最中、他の登山客により衝撃の事実を知らされることになる。

 なんと、七合目はふたつあり、今までいたのは「新七合目」で、次の休憩場所は「元祖七合目」だという。疲れがどっと来た。八合目に向かう途中、日没直前に見える影富士(富士山の影が平野に浮かび上がる現象)や逆さ富士(湖に映る富士ではなく、夕日の影が逆三角に伸びる現象)が見られ、その美しさに息を呑んだ。

 八合目の山小屋「池田館」に着いたのは、夜の7時であった。麓を見下ろせば、下で花火大会をやっているのが見えた。花火はミニチュアのように小さく、富士山の高さを改めて実感した。ビールを飲み、ささやかな乾杯をして8時に就寝した。山小屋は非常に混んでおり、一人あたりの寝るスペースは50センチほどしかなかった。外で寝ている人もおり、それに比べればはるかにましである。


左:影富士           右:逆さ富士

<八合目〜山頂>

 午前2時に山小屋を出発した。外に出てみれば、真冬のごとく寒い。着替え用のシャツやジャージも全て重ね着して登り始めた。

 空を見上げれば、満天の星空であった。天の川がくっきり見える。そしてその下では真っ黒な富士山を登る登山客のヘッドライトが、山頂に向かって列をなしている。まるで巡礼のようで、神秘的な光景に見えた。

 九合目あたりで、東の空が明るくなってきた。ご来光は近い。なんとか山頂でご来光を迎えたかったが、九合五勺を過ぎたあたりで山肌に日が照らされた。そのとたん、風が止み、急に暖かくなった。太陽の威力を肌で感じた。しばらくして、山頂の鳥居をくぐった。


左:ご来光直前の地平線          右:登山中(この格好でもまだ寒い)

<山頂にて>

 山頂では、とりあえず名物のカップラーメン、カップうどんを食べた。800円だが、水もカップ麺も下から運んできたことを思えば安い。カップ麺は滅茶苦茶美味しかった。恐らく人生で一番美味しいカップ麺であろう。

 その後、女性陣は休憩、男は本当の山頂である「剣が峰」を目指した。剣が峰までの道のりはかなり辛いものであった。坂が急な上に、砂が崩れてろくに登れない。蟻地獄から這い上がる蟻の気分であった。

 剣が峰に着いた瞬間、持っていたポテトチップスの袋が「ボン」という音を立てて破裂した。まさに富士山が開けたポテチである。私達は無駄に喜び、有難がってポテチを食した。

 剣が峰は、写真を撮る人で行列が出来ていた。シゲオ、ミヤザキ、ケイジはこの行列に並ぶことに、シュウヘイと私は代わりにお鉢回り(火口を一周すること)をすることにした。山頂からの眺めはどこから見ても本当に美しかった。山頂は吉田口(山梨県側)の方が栄えており、そこはまるでアンデスの古代都市を思わせる雰囲気があった。そこで「富士の万年雪で冷やした」というビールと水を買った。ビールが600円で水が500円。ここまで運ぶことを思えば格安である。


左:お鉢回りにて           右:山頂の町並み

<下山>

 朝の8時半頃、下山を開始した。9合目で休憩した時、高山病でミヤザキの具合が悪くなり、ミヤザキ、シゲオ、私の3人は先に下山することにした。坂を駆け下りるようにして下山し、12時半頃、5合目に下りてきた。他のメンバーが下りてきたのは14時頃。顔を合わせた瞬間、メグが7合目で手に入れた「温泉割引券」を私達に叩きつけて崩れ落ちた。「すぐに連れて行け」ということであろう。相当疲れたらしい。よく頑張ったものである。


左:雲海           右:下山中皆で棒踊りのキメ

<帰宅>

 その後、温泉で疲れを癒して帰路についた。帰省ラッシュの中、東京方面は空いているだろうと思っていたが、東名は混んでいた。横浜駅に着いてミヤザキとケイジを降ろしたのが夜の10時過ぎ、家に着いたのは12時過ぎであった。

 今日は昼の1時に起き、だらだらと過ごした。

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