供養唄
広島県庄原地方民謡
ヤーホーレイ供養は 何のためにゃするもの
ヤーホーレイ供養は牛馬の為にゃするもの
ヤーホーレイ供養にゃ本尊様を迎よか
ヤーホーレイ本尊様はどこの国から迎える
ヤーホーレイ備後の国から迎よか
ヤーホーレイおこしの御供で迎よや
ヤーホーレイはすのれんげになおらしょ
ヤーホーレイ香花立て拝ましょ
ヨイショリャヨイソリャ アソリャ アサイ
この唄は広島県の庄原に伝わる民謡で、私の大好きな曲のひとつであります。庄原には国兼池という大きな池があります。そしてそこにはなんとも哀しい人柱伝説があります。人柱というのは、何か大きな工事などをする際に、人間を生き埋めにして神に捧げることによって、安全を祈願するという風習です。国兼池には、国さんと兼さんという若い姉妹が人柱として捧げられたという伝説があります。私はつい最近までこの伝説についての詳しいことはまったく分からなかったのですが、つい最近それについてのサイトを見つけました。
正保三年(1646年)、谷川の水をせき止めて作られた国兼池は毎年のように堰が切れ、氾濫していました。そこで、堰の底に人柱を立てることになり、国さんと兼さんの姉妹が選ばれました。2人は最後のお願いとして竹ざおの先を地上に出しておき、地下で線香をたきたいと申し出ました。線香の煙が絶えた時、2人の命が終わった時と思って下さい、と言い残し、竹ざおの端を握り、線香に火をつけながら地中に身を沈めたところ、竹ざおの先から線香の煙が7日間もたちのぼったそうです。それから氾濫はなくなり、人々はこの池を国兼池と呼ぶようになりました。そして国兼池には黒と赤の2匹のコイが泳ぐようになりました。村人はそれらを国さん兼さんの生まれ変わりだと信じ、捕ることなく大切にしたそうです。
これが国兼池の伝説です。彼女らは村人みんなの幸せを思って人柱になったのです。この唄は、そんな国さんと兼さんを供養するために唄い、踊られるものです。歌詞に「牛馬の為にゃ」とあるところをみると、家畜の供養のときにも唄っていたのでしょうか。いずれにせよ、このシンプルで美しいメロディーは人間のもつ暖かみや思いやりを感じさせてくれます。そして、この人柱伝説と重ね合わせながら聴くと、庄原の風土とそこに生きる人々のことを空想し、切ないながらも一層暖かみを感じます。このMIDIの演奏は民研に伝わっているものを元に、私の勝手な解釈を織り込んで作りました。供養に対する想いを乗せたつもりではありますが、音楽的にはだいぶ理にかなっていない編曲になっております。
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