先週の土日は、職場の先輩のエンドウさんとバリ島に行った。バリ島と言えば、南国のリゾート地というイメージがあるが、ここに住んでいると九州人が沖縄に行くくらいの気軽さで行くことになる。バリ島の中でも、浜辺のリゾート地帯ではなく、山側のウブドを中心に観光したため、海は全く見ていない。
ウブドに着けば、あたり一帯は欧米人であった。エンドウさんは「軽井沢のようだ」と言った。確かに完璧な観光地という感じがする。しかし、その中でもヒンドゥーの土着文化が垣間見えるあたりが面白いと思った。以下、かいつまんで書く。
一日目の夕食後は、ケチャダンスの上演を見に行った。ケチャダンスと言えば、かつて会社の先輩にCDを借りて以来、いく度となく聴いている。夜のドライブなどで寝そうになったときにこのケチャダンスを流せば、一気にアドレナリンが出て、しばらく目が覚めるという使い方であった。一度本場のケチャをこの目で見てみたかった。
ケチャダンスの歴史は意外に新しく、1930年頃にドイツ人が提案して作ったものらしい。だからと言って、芸能としての価値が下がることにはならないと思う。津軽三味線だって、現在の形となったのは戦後である。
ケチャダンスを見れば、日本で見た地方の芸能に似ていると思った。メンバーの中には、一生懸命歌っている人もいれば、適当に歌っている人もいる。それぞれが比較的自由に振舞っているのに、全体としてひとつに見える。西洋の芸術とは全く異なる完成形がここにある。
ケチャの次に見たファイヤーダンスは、もっと凄かった。馬の頭のような道具を持った人がひとりで現れ、ケチャの合唱の中、燃え盛る椰子の殻を裸足で蹴散らすのである。踊りというか、蹴散らすだけであった。凄い迫力であった。

左:ケチャダンスの様子 右:ファイヤーダンス(とは言っても炭を裸足で蹴散らすだけ)凄まじい。
二日目は、道端にいる「タクシー」とつぶやいている人に連れていってもらって車で観光した。ウブドと言えば10メートル歩く事に「タクシー」と声をかけられる。店で手配してもらおうと思ったが、閉まっていたため、道端にいる人に連れていってもらうことにしたのである。
「マデ」という名前の運転手は、面白かった。「Kenapa」は「なんでやねん」(過去に乗せた関西人に教えてもらったらしい)、「Datang」は「来る」だから、「Kenapa datang?」(なぜ来たの)は「なんでやねん来る?」らしい。
バリ島は、ヒンドゥーの島である。バリ人は、私が思っていたよりも敬虔で、生活が宗教と共にあることを感じた。ティルタ・エンブル寺院では、多くの地元民が沐浴をしていた。沐浴でありつつ、プール感覚でもあり、南国のおおらかさを感じる。ここでは、祭礼があるらしく、至る所でお祈りをしている人がいた。

左:ティルタ・エンブル寺院で沐浴する人々。楽しそう。 右:巨木に向かってお祈りする人々。となりのトトロのワンシーンを思わせる。
その他、コーヒー園で、コーヒーの試飲をした。世界最高級と言われるコーヒールワッは、山猫がコーヒー豆を食べ、その糞から取れた豆で作られたコーヒーで、値段は桁違いに高い。店員は日本語で「ねこのうんちコーヒー」と言っていた。試飲してみたが、私にはあまり味は分からなかった。

左:棚田の絶景。 右:コーヒールワッの原料(左上の黒いのは猫の糞)。ここから絶品コーヒーが出来る。
結局、一泊二日という短い旅であったが、それなりに楽しんで帰ってきた。
5月21日 ふるさと