2014年
2月のつぶやき




2月26日 めまい

 一昨日の夜、仕事を終えて家に帰ると、強い耳鳴りとめまいに襲われた。立っているのも辛くなり、食事を終えてすぐに寝たが、まるで揺れる船に乗っているような感じが一晩中続き、吐き気もした。

 次の日もまだふらふらするので、会社を休み、会社の産業医に相談をしてみた。特に、コレステロールと耳鳴りの関係が未だに良く分からない。高脂血症治療薬については、手足の痺れの副作用が強く、ネットで調べたところ、日本での8倍もの成分を投与されていることが分かったため、服用をやめている。

 産業医によれば、現地の日本人の医者とよく相談して、現地でどのような検査をするか、必要であれば日本での検査をするかを決めるようにとのことであった。特に、コレステロール値が血管に何らかのリスクを与えているかは、MRIを撮ってみたほうがよいとのことであった。

 早速、日本人の医者のところへ行き、MRIを持っている病院を紹介してもらい、受けに行った。

 MRIは初めての体験であった。中で発生する騒音を軽減するためにヘッドホンをして音楽を流すのだが、その音楽もうるさい上に、ヘッドホンの隙間から騒音も流れてきて、二重でうるさくなるのである。MRIに入るとき、緊急用のボタンを渡され、「何かあったらこのボタンを押して知らせてください」と言うので、検査が始まってすぐに押してやり、「音楽がうるさい」と主張した。ドクターは無言で音楽のヴォリュームを下げた。「面倒な患者だ」という無言の空気が伝わってきた。これなら耳栓とかの方がいいと思った。なんとか40分程度の騒音に耐え、終了した。

 今日は、これから結果を聞きに行ってくる。まあ、何も問題なければ、安心できる材料がまた増えるであろう。

 現時点では、耳鳴りは小さく、めまいやふらつきも全く無い。これまでの経験から、やはり原因はストレス、不安、疲れ、である。これが溜まってくると、耳鳴りはどんどん酷くなるし、休養をとれば、一気に元に戻る。

 これは、試練なのだと思った。これまでの、若さに任せてがむしゃらに働く働き方から、諸先輩方のように、老獪で、飄々としつつもポイントはちゃんと押さえている様な、中年の働き方にシフトしていかなければならないのだと思った。


2月22日 Detail論争

 先週の休みの日、私はサチコとお絵かきをしていた。そして、ふと思いついてサチコの顔をスケッチしてみた。すると、リアルに描こうとすればするほど、老けた顔になるのである。

 私は妻に「人の顔ってディーテルまで描けば描くほど老けて見えるなぁ」と言った。すると、妻は私の質問には答えず、「ハァ??ディーテル??ディテールじゃないの?」と言った。ちなみに、下線部はアクセントである。

 私は、即座にネット辞書で発音記号を調べた。すると、前アクセントと後ろアクセントが併記されている。私はこれを妻に見せ、発音記号によればどちらもアリではないか、と反論した。それにインドネシアではみんな「ディーテル」と発音している。だいたい、妻の発音は「ディテー」と「ル」がやたら強調されている上に、発音が「R」に近い、本当は「L」の発音をしなければならないと言った。大体、「ディテー」等と言うのは、若者が「カレシ」を尻上がりに発音するような、最近の傾向に過ぎないと言った。

 妻はますます怒り、「これはもう日本語化された英語なんだ。Googleで調べてみよ。『ディーテル』とか入力すると、『もしかしてディテール?』とか出るではないか。ネィティブの発音やインドネシア人がどう言うかなんて関係ない。日本で『ディーテル』とか言うと、恥をかくだけだ」とまくしたてた。

 論争はしばらく続き、私の冒頭のコメントは黙殺された。


2月15日 コレステロール

 コレステロールが高いと診断されたことを機に、ネットで色々コレステロールについて調べている。

 朗報であったのは、イカ、タコ、エビなどは確かにコレステロールは高めだが、これらの食品には悪玉コレステロールを下げる「タウリン」が豊富に含まれており、近年はそれほど気にせずに食べてもよいとされていることであった。

 なお、コレステロールの高い食品の1位は、鶏卵(卵黄)で、100g中1400mgも含まれている。2位はスルメで980mg。しかし、スルメを100gも食べることはいかにスルメ好きの私でも不可能である。せいぜい10gも食べれば満足するのではないか。水分40%以上の食品に限定すれば、2位がピータンで680mg。1位の鶏卵がいかにダントツかが分かる。続いて、あんこうのきも、すじこ、キャビア、いくら、ウズラ卵、ウナ肝、と続くが、まあこれらは滅多に食べることはないだろう。

 卵については、本当に気をつけなければと思った。これは意識しなければいくらでも食べてしまう。恐らく、太古の昔は卵など、滅多に手に入らない貴重な品だったのであろう。それが、技術の発達により、安価で日常的に食べられるようになってしまった。

 とりあえず、卵(魚卵含む)と臓物類だけはちょっと控えめにし、後は普通に食事をして運動をしようと思う。


2月13日 運転手

 2週間前に、妻用の運転手が田舎に帰ったきり、戻ってこなくなった。彼は、ジャカルタに単身で住んでおり、妻と1歳の娘は妻の職場の関係でスマトラに住んでいる。彼は、娘の誕生日や、正月など、事あるごとに飛行機で妻子の元へ帰っており、そのたびに、色々な理由をつけて、休暇を伸ばし、仕事に戻るのを遅らせていた。

 2週間前は、中国正月で3連休があり、また妻子のところへ帰りたい、という。別に休日に何をするかは自由なので、許可したが、案の定、日曜日の夜になって、帰りのチケットを買う金が無いから戻りが遅れると、SMSをよこしてきた。

 あまりに毎度のことなので、私は電話をして、彼に怒った。毎度同じことをしているではないか、何故事前に帰りのチケットも手配してから帰らないのか。そもそも、頻繁に帰りすぎだ。そんなことしていたら、いくら金があっても足りないし、(現に借金をしている)そもそも帰る金があるなら、帰りたい気持ちを我慢して、娘の将来のために使うべきではないのか。

 電話を終えて、自己嫌悪になった。私は、人を怒るが嫌いである。彼は決して悪い人間ではないし、離れ離れに暮らしている妻子に会いたい気持ちも良く分かる。それでも、彼の態度を受け容れるわけにはいかない。

 その後、彼からの連絡は途切れ、こちらからSMSをしても帰ってこなくなった。新しい運転手を探さなければならない。

 彼が向こうでちゃんと仕事を見つけて、幸せに暮らせることを祈る。




2月8日 耳鳴り

 先週からまた耳が鳴り出したので、病院に行ってきた。血液検査の結果、コレステロールが非常に高いことが判明した。通常200までが正常とされているのに対し、300以上であったという。

 私は、血液検査の二日前、運転手と一緒にソトブタウィの店で昼食を食べていた。ソトブタウィは、ジャカルタ地方の伝統的なスープで、ココナッツミルクのスープに、牛モツをどっさり入れた豪快なスープで、それをおかずにご飯をおなか一杯食べた。医者に「この影響ではないですか?」と訊いたが、直近の食事の影響は約20%であり、それを加味しても300は高いらしい。

 そして、コレステロールを下げる薬を一ヶ月分もらい、エビ、カニ、イカ、などの摂取は避けるように、と言われた。その他、調べてみると、魚卵、アンキモ、ホルモン、卵などもコレステロールを多く含むらしい。

 私は悲しくなった。どれも私の好物ばかりではないか。パーム油も良くないので、インドネシア料理も避けようということになり、サチコが幼稚園の日は、私のぶんも弁当を作ってもらい、会社の食堂で食べるのは避けることにした。

 ちなみに、コレステロールを下げる食品は、ゴマ、干ししいたけ、緑茶などであり、ゴマをかじりつつお茶をしたり、干ししいたけを肴にワインを飲んだりしていればいいらしい。これらもまあ好物ではある。

 恐らく、体質なのであろう。我が家は糖尿病の家系でもあり、以前より血糖値は高めである。それほど暴飲暴食しているわけでもないし、運動も意識して行っている。まあ、あまり数字にこだわり過ぎるのも精神衛生上良くないので、気にし過ぎないようにしようとは思っている。

 とはいえ、しばらくは耳鳴りと言う症状が出てしまっているので、しばらくは気をつけなければならない。これを書いている今、耳鳴りは落ち着いてきている。


2月5日 交響曲第1番 HIROSHIMA について

 佐村河内(さむらごうち)守氏の代表作「交響曲第1番 HIROSHIMA」は、別人により作曲されたものであったらしい。全聾の作曲家として一躍有名になった彼は、幻想であったらしい。

 しかし、そこに作られた曲があり、それにより多くの人の心を動かしたことは事実であろう。もしかして、人々は、「全聾で広島出身の作曲家が作った」ことで、過大な評価をしてしまったのであろうか。否、多くの人々がそのように評価してしまうことは仕方ないとして、世界中の音楽家までもが、そのような評価をしてしまったのであろうか。また、そういう評価をした音楽家たちは、この結果を聞いて、「よく聴いたらつまらない曲だった」と、自己否定するであろうか。

 音楽の評価というのは、実に難しい。音楽それ自体に、メッセージが込められているというのは、幻想であろう。「HIROSHIMA」だって、これが別の題名であったなら、それはそれで納得して聴くであろう。たいていは、その音楽を聴けば映画のシーンを思い出すとか、若かれし頃を思い出すとか、別の体験とセットになる。今回は、被爆二世で全聾の作曲家が作った、というストーリーとセットで売り出されたのである。そういう「セット販売」は、音楽業界では当然のことであり、それに人々が乗るのも驚くにはあたらない。

 だからこそ、この曲が純粋に音楽としてどうか、という点は、誰によって作られたかと言うこととは切り離して、音楽家が責任を持って客観的に評価すべきである。

 私はといえば、昨年の8月に日本に一時帰国した際、話題になっているということでCDを購入した。ジャカルタに戻った後、早速聴いてみたが、それほど心を揺さぶられなかった。もちろん、メロディは美しいのだが、どことなく重厚感がなく、まるでゲーム音楽を聴いているような感じであった。それから、一度も聴いていない。

 別に、私の感性が正しかったなどというつもりは全く無い。元々、クラシックを良く聴く方ではないし、クラシックを理解する感性が足りないのだと、今でも思っている。


2月3日 サチコ

 サチコが、反抗期である。歯を磨くとき、「あーの口をしなさい」というと、「お」とか「う」とか、わざと歯を磨きにくい口の形をする。「寝る前にトイレに行きなさい」「だめ!」「はやく寝なさい」「ねない!」など、典型的な反抗期で面白い。「反抗期なの?」と訊くと、「うん」と答えた。

 そんなサチコが、突然「たどころさちこって書けたよ!」と嬉しそうに書いた字を持ってきた。確かに、それらしく書けている。「ど」の字が非常に斬新だが、分からなくも無い。あとピタゴラスイッチを見ているため、「ピ」は理解している。私が新聞を読んでいて、「ルピア暴落」などの見出しがあると、「ピがあるよ!」と言う。その他、「レーザービーム」「にんじゃりばんばん」など、お気に入りの歌は、字面を見れば分かるらしい。

 一方、柔道は苦手である。未だに、背負い投げの概念が分からないらしく、とりあえず打ち込みなどは出来るのだが、「投げてみて」というと、力を入れることなく「やぁー!!!」と威勢の良い掛け声をかける。「ちゃんと力を入れて」と言うと、

「やぁー!!!!!!」

と、声だけが大きくなるのである。大きな声を使って、魔法の様に人が投げ飛ばせるとでも思っているのであろうか。

 サチコは、明らかに体育会系ではなく、文科系である。口ばっかり達者になっている気もするが、それでいい。だからこそ、半ば無理矢理にでも運動をやらせておけば、そこそこバランスのいいキャラになるのではと、勝手な希望を抱いている。

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