2014年
9月のつぶやき




9月29日 麦の唄

 今日、NHKの朝ドラ「マッサン」の初回を見て、衝撃を受けた。主題歌が中島みゆきだったからである。私は、なぜか子供の頃から中島みゆきが好きである。初めて聴いたのは、「家無き子」の「空と君との間に」であったか。どちらかというと短調の曲のほうが好きで、根暗な少年であった。

 「マッサン」は割りと軽いタッチのホームドラマに思えるが、それとこの力強く重々しい主題歌がマッチしているのが面白い。初めて聴いて、これはリコーダー編曲しなければと、すぐに思った。

 ちなみに、朝ドラ初となる、外国人のヒロイン、シャーロット・ケイト・フォックスさんは、日本育ちで日本語がペラペラの人かと思いきや、スコットランドでオーディションをして、連れてこられたらしい。日本語の喋れない外人を起用したNHKの大胆さに、二度衝撃を受けた。

 NHKのやることは、ときに常識をひっくり返し、面白い。これから期待したい。


9月26日 父が来る

 先週から今週にかけて、父がインドネシアに来た。父のほか、父の妻、父の友人夫妻での4人である。金曜の夜に到着し、火曜日の夜に出発する、若干駆け足の旅行である。

  父は、かなり前からインドネシアに行ってみたいと言っており、帰省するたびに、インドネシア語の勉強をしていて、「魚はイカン(ikan)、菓子は食え(kue)、ご飯は無し(nasi)」などと、語呂合わせを言っていた。また、NHKの「世界ふれあい町歩き」のジョグジャカルタの放送を録画して、何度も観ているらしい。

 土日は、早朝に出発し、ジョグジャカルタのツアーに行った。今回は、旅行会社が全てアレンジするお任せツアーにしてみた。日本語ガイドと運転手つきで、土曜日にプランバナン観光、夜はラーマーヤナ舞踊の鑑賞、日曜はボロブドゥール観光と王宮周辺の散策である。食事は全てついてくる。

 ラーマーヤナ舞踊は、夜の8時から2時間もあり、サチコも眠くなるかと思い、「飽きたら途中で帰ろう」などと話をしていたのだが、思いのほか面白かった。サチコは相当気に入ったらしく、最後まで目を輝かせながら観ていた。ラーマーヤナは、ラーマ王子が奪われたシータ王女を取り返す冒険活劇である。インドで生まれたこの物語の特徴は、舞台が深い森であるということだろう。そのあたりが、西洋の物語の風景と全く異なり、私達アジア人に親しみやすい。スタジオジブリでやったら面白かろうと思った。今回の舞台は、悪役が非常に個性的でダイナミックに描かれているのに対し、主人公のラーマとシータがずいぶん無表情でのっぺりと描かれているのが印象的であった。

 食事は、ほぼ全てビュッフェスタイルであり、どれも同じような味で飽きた。どんな好みの客にも対応するためには、ビュッフェが最適なのであろう。私は飽きてしまい、今後は、二日ともお任せツアーはやめようと思った。しかし、父は「ビュッフェに燃える男」らしく、毎回あらゆる料理を持ってきては美味しそうに食べていた。ナシゴレンの味も、毎回少しずつ違うらしい。

 旅行中、印象的だったのは、父と、父の高校時代からの友人が、「北はどっちや?」とか「今は自宅から見てどの方向にいるの?」といったことをしきりに訊いてくることであった。私も、ジャカルタに来た当時、頻繁に地図を見ては位置関係を覚えようとした。自分がどこにいて、どっちに向いているかを知りたいという性格は、私も同じである。ふたりは、頻繁に地図を見ては、周りの風景を記憶し、一度通った道は覚えているのは凄いと思った。

 日曜日の夜、ジャカルタに着いて自宅近くのホテルに送り届けた後、父から電話がかかってきた。ツインベッドを予約したのに、ダブルベッドであったらしい。実は、初日に同じホテルに泊まった際も、同じことが発生しており、旅行会社にクレームをつけ、かつフロントで今回はツインを予約していると何度も念押ししていたのであった。それにもかかわらず、ダブルベッドの部屋に通された父は、フロントに乗り込んで怒り狂ったらしい。英語で怒り狂える父は凄いと思った。

 それにしても、ツインにしろと、ここまで怒り狂う夫婦は、どれだけ仲が悪いんだろうと思われたに違いない。その後、部屋を代えてもらい、ツインの部屋に通され、部屋から電話をしようとしたら、壊れていたらしい。「うるさい客やからわざと電話線切られたんとちゃうか」と、笑っていた。

 月曜、火曜は、有給を取って、ジャカルタ近郊の温泉宿、ギリティルタに行ってきた。以前、マサルさんが来たときに初めて訪れ、その環境とホスピタリティのよさに驚いたところである。風呂に入ってゆっくりして、夜は棚田を舞うホタルを見た。夜は、独特の鳴き声のするトカゲのせいで、なかなか寝付けなかった。

 最終日は、ドリアンを食べた後、買い物をした。妻が良く使う土産物屋や、モールのスーパーで買い物をした。父はサンバルが気に入ったらしく、買い込んでいた。また、日本では昔懐かしい粉末ジュースや、「日本製より5倍効く」蚊取り線香などを買っていた。

 私は、かなり疲れていた。結構な強行軍であり、60代の老夫婦にしては、忙しすぎるアレンジであったと反省した。しかし、彼らは私よりも全然元気で、平気な顔をしている。やはり高度経済成長を支えた世代のバイタリティは凄いと思った。

 父は、何気なく「おう」と言ってやってきて、「ほんならな」と言って帰って行った。そんな印象は、昔から変わらないなぁと思った。


左:伝統舞踊後に写真を一緒に撮るサチコ       右:親子三代、温泉にて




9月14日 発明のポイント

 そろそろ、タケコプターが発明されてもいいのではと思っている。もちろん、そろそろと言うのは、あと20〜30年後くらいという意味であり、タケコプターというのは、個人が購入できる価格の、手軽に空中を移動できる手段という意味である。個人が購入できる価格といえば、自動車と同じくらいの想定である。

 空中に浮遊するというのは、膨大なエネルギーを消費するイメージがあるが、空中で静止あるいは上昇するだけであれば、エネルギーは必要ない。もちろん、ヘリコプターのようなイメージであれば、大変な浪費になるが、大量の風船や強力な永久磁石で浮かぶのは、エネルギーは不要である。そういう観点から、何か方法はないものかと、暇があれば考えている。

 もちろん、これが発明されても、法整備(交通ルールや電線の問題)や、安全対策には時間がかかるであろう。しかし、発明されれば、携帯電話と同じくらいのインパクトがあるに違いない。


 もうひとつ、これが解決されれば世界に変革をもたらすと考えているテーマがある。それは、女性が尊厳を保ったまま、快適、衛生的にに立ちションをする方法である。これが解決されれば、女子トイレに必要な面積は減らせ、イベントなどで発生する長蛇の列も解消される。これまでいくつかの方法が試みられてきたそうだが、一般に普及するには至っていない。

 当然、立ちションである必要は無い。簡便で、快適な方法であれば良いのだが、これがなかなか難しい。


 こんなことを書いて馬鹿馬鹿しいと思うかも知れないが、私は真面目である。大体、アップルが、アィフォンフォーだ、ファイブだ、シックスだと出している方が馬鹿馬鹿しい。すでに思考停止状態である。ちょっと薄くしたり、画面の大きさをいじったりということに、目新しさは無い。それ以上に、過去に携帯電話からボタンをなくしたことのほうが遥かに凄い。こういう考えは、既存の製品からの延長線では思いつかないのである。

 これらの考えは、これまでここに書いたことがなかった。こっそり考えて一山当てようと思っていたからだが、ここに書くということは、そろそろ限界を感じているということである。

 ちなみに、他にもいくつかアイディアはあるが、ここには書かない。


9月13日 安全について

 ずいぶん昔の話になるが、ジャカルタ柔道部の顧問でインドネシアに40年も住んでいる黒田先生とお会いした際、次の言葉をいただいた。

1に安全 2に健康 3,4が無くて 5に人と人との繋がり

 ここに「仕事」が無いのは、仕事をしなくてもよいという意味ではなく、上記に気をつけていれば、仕事の成果は自動的に付いてくるということらしい。私も、赴任当時から安全に対する心配は大きかった。赴任当初に必死で語学を勉強したのも、安全に対する危機意識からだったと言っていい。

 安全に気をつける際に、私はふたつの考え方があると思う。ひとつは、現地との接触を出来るだけ避け、絶対安全な行為だけをすること、そしてもうひとつは、現地の人やモノと積極的に触れることにより、危険を回避する感覚を磨くことである。これは、病気で言えば、無菌状態で生活し続けるか、或いはある程度菌に触れながら免疫を付けていくかに似ている。

 運転手の運転する車以外ではアパートから出ず、当然散歩もせず、インドネシア料理は一切食べず、大型モールや日本食スーパーでしか買い物しないというのも、安全対策のひとつである。しかし、私には違和感がある。もし、生活基盤を根本から破壊するような天変地異や政情不安が起こった際に、自身と家族を守れるのは、自分の感覚や能力だと思っているからである。

 それと、望まずとはいえ、縁あって来たのだから色々経験しておこうと言う思いもある。


9月5日 精密検査

 先週は、精密検査のため、また日本に一時帰国した。人間ドックで色々引っかかってしまったのである。今年は、火だるまに始まり、めまい、耳鳴りに悩まされ、常に健康不安を抱えている。

 結論から言うと、人間ドックで引っかかった項目は、全て異常なしであった。人間ドックは少しでも問題らしきものがあると、要精密検査にする傾向があるらしい。一時期減ってしまった体重も少しずつ戻ってきている。ようやく、これまで抱えていた健康の問題が少しずつ氷解しているのを実感している。

 時間ができたので、家族に会いに行った。祖父は、92歳だがまだ自分で歩くことができ、駅まで迎えに来てくれた。祖父は、未だに毎日生卵を飲み、47℃の風呂に入っているという。コレステロールが高いと言われようと、生卵は飲み続けている。私も子供の頃、祖父のこの習慣に触発されて毎日生卵を飲んでいた。

 こうなると、やはりコレステロールと健康は関係ないのではと思ってしまう。ただ、祖父の健康の源といえるのは、やはり散歩であろう。ほんの数年前まで、早朝の散歩と木刀の素振りを欠かさず行っていた。有酸素運動がいかに健康のために重要かは、祖父が証明している。

 二日前家族と共にジャカルタに戻った。家族のいる生活はやはり素晴らしい。

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