2020年
9月のつぶやき
9月29日 サピエンス全史
図書館で借りて「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)を読んでいる。結構人気の本らしく、予約して1週間くらい待ってようやく借りることができた。
久々の知的興奮を味わいながら読んでいる。上下巻あり、上巻の半分と少しを読み進んだところだが、久々に読書の満足度が高い。私たちホモ・サピエンスが現在の様に反映した原動力は何か、その結論は本のカバーに明確に記されている。以下、上巻カバーより引用
アフリカでほそぼそと暮らしていたホモ・サピエンスが、食物連鎖の頂点に立ち、文明を築いたのはなぜか。その答えを解く鍵は「虚構」にある。我々が当たり前のように信じている国家や国民、企業や法律、さらには人権や平等といった考えまでもが虚構であり、虚構こそが見知らぬ人同士が協力することを可能にしたのだ。やがて人類は農耕を始めたが、農業革命は狩猟採集社会よりも過酷な生活を人類に強いた、史上最大の詐欺だった。(以下略)
以上のような、かなり衝撃的な内容が歴史的証拠を元にかなりの厳密さをもって語られる。その説得力は、類がないほどすさまじい。この本への感情的な反発は、私たち日本人以上に、西欧・中東の一神教の人々にとって受け入れ難いように思える。本の内容は、基本的には客観的でありながら、若干シニカルな主観的スパイスが効いている。イスラエル人である彼が、このような視点からものを考えられるようになるのは、どのような経緯であろうか。
下巻、そしてそれに続く「ホモ・デウス」を読むのが楽しみである。
9月22日 外向きの音楽
アマチュアの音楽というのは、プロのそれにはない良さがある。そんなことを考えたのは、学生時代に所属していた民研の音楽を改めて客観的にとらえたときであり、NHKの合唱コンクールを観にいったときである。
今日は、6月まで所属していた吹奏楽団ゆうすいの定期演奏会であった。私は、会場スタッフとして参加した。
コロナ禍のなか、入場者への検温と誘導、席の感覚を空けたうえで、全席指定席とするなどの対応をして臨んだ演奏会であった。
久しぶりに生の演奏を聴きながら、「外向きの音楽」だと思った。ある意味で、アマチュアの最高峰だと思った。楽器の練習というのは、ある意味内向きの活動である。自分を見つめ、コツコツと地道に練習をし、少しずつできることを増やしていく。今の私のように、それだけをやっている人間の音楽は、どうしても内向きになる。上手になっても何か足りない。
コツコツと地道に練習して取り組んだことを、外に向かって開放する。今日の演奏は、それをすごく感じる。演奏している本人たちは、そのような意識は無いのかもしれない。それでも、伝えたい、楽しませたい、という思いが伝わってくるようであった。
演奏の上手い下手は関係ない、というのは嘘である。ただ、常に上を目指そうとしている姿勢自体が、演奏に表れているように思えた。
楽団で楽器を演奏したい、と思った。しかし、今の私には、忙しすぎる。今のうちから練習を続け、老後にでもやろうと思う。その時のためにも、「外向きの音楽」を意識しなければならないと思った。
9月20日 月の石
4連休は、特に何も予定していない。今日は、地元の青少年科学館にアポロ11号が持ち帰った月の石が来ていると知り、子供たちを連れて自転車で向かった。
サチコに月の石を見に行こうと言ったら、「どうせただの石でしょ」と言われた。サチコは最近、ニヒルであることがかっこいいと思う年ごろになったらしい。誰もが通る成長の過程であろう。
月の石を目の前にしても、子供たちは特に感動するということもなく、サチコは2秒ほど見て、「思った通りのものだった」と言って、去っていった。優一はそもそも何のことなのか分かっていない。
そんなサチコも、プラネタリウムで、アポロ11号のドキュメンタリーを観たときは、さすがに心が動いたようであった。ドラえもんがアニメの中で月に行くのとは訳が違う。リアリティあふれてる映像をドキドキしながら観ていた。サチコもこういう映像を楽しめるようになったのか、とある意味感心した。
9月15日 オランウータン いのちの学校
先週のNHKスペシャルで、表題の番組をやっていた。インドネシアのカリマンタンで、密猟や森林の消失等により親を失い「孤児」となったオランウータンに、生きる術を教えて森に返す学校のドキュメンタリーである。
オランウータンは、哺乳類の中でも人間の次に子育て期間が長く、生まれておよそ8年間は、母親とともに暮らし、生きる知恵を学ぶという。孤児となったり、人間に飼われていたオランウータンは、野生で生きる術を持たない。そんな生きるためのスキル、すなわち、木登り、餌の取り方、寝床の作り方、危険生物への対応などを、人間が教えて、野生に返す取り組みが行われている。
およそ8歳までは、生きるスキルを人間から学び、その後さらに8年程度、ジャングルでの「実施訓練」が行われる。ここでは、日々必要最低限の食料のみを提供し、足りない分は自分で確保することが求められる。
そして、「卒業」の要件を満たしたオランウータンは、麻酔銃で撃たれ健康状態を確認したのち、野生に返される。このころのオランウータンは、ほぼ大人の体格で、人間を威嚇し、容易に寄せ付けないようになっている。
私は、久しぶりに心を打たれた。インドネシアは、やはりスケールが違う。オランウータンは、インドネシア語で「森の人」の意味だが、飼育員たちは、子供のオランウータンに対し、本当に人格を持った「人」を育てるように、愛情をもって接していた。一方で、「野生に返す」という本来の目的は見失うことなく、ある種の厳しさも併せ持っている。こういったバランス感覚の良さは、いったいどこから来るのであろうか。
そして、木を伐ってパーム農園を作り、密猟をしてオランウータンを窮地に追い込んでいるのもまた人間である。番組は、難しいテーマをつきつける。
番組の最初のほうでは、民家で違法にオランウータンを飼っているとの情報が入り、警察とともに駆けつける場面がある。そこにあった光景とは、質素な民家の壁にもたれ、慈しむように赤子のオランウータンを抱いている少女の姿であった。オランウータンを無事確保し、走り去った車を、茫然と見つめる子供たちの姿が一瞬写る。
いずれも人間の一側面だということを感じる。
9月9日 色は匂へど散りぬるを
最近は、サチコがお気に入りの歌をリコーダー編曲するのが習慣になっている。短調でアップテンポな曲が好きなため、自動的にゲームのバトル音楽や、ちょっとシリアスなアニメの主題歌などに集中する。そして、その好みは私に似ている。
今日は、表題の曲を多重録音して演奏してみた。どのような曲なのか調べてみたが、いまいちわからない。アニメの主題歌なのか、まずはこの歌があってアニメが作られたのかも分からない。この曲には原曲があるようだが、それがどのようなものなのかもわからない。とりあえず分かるのは、「東方プロジェクト」と呼ばれる同人作品のひとつということくらいである。
よくわからないが、休みでやることもないので、編曲して録音してみた。
↓色は匂へど散りぬるを リコーダー4重奏
https://www.youtube.com/watch?v=ldi5Hr6Ijro
9月9日 1Q84
この一週間の休みで、村上春樹の「1Q84」を読み返している。1Q84は、村上春樹の小説の中では、かなり読みやすい部類に入る。それでも、かつて読んだときは、だんだんついていけなくなり、3巻あたりではかなり混乱しながら読んだ。
10年位ぶりに読み返し、改めて面白いと思った。この小説は、純文学であり、冒険モノであり、ミステリーであり、恋愛モノでもある。そしてこの小説は、私たちが未知の世の中に迷い込んだとき、どのような心構えで、どのように振る舞うべきかを教えてくれる。小説では、月がふたつあるような奇妙な世界が描かれるが、現実世界でもそれなりに奇妙な世界、邪悪な世界がある。そして、それらは、自分で思っているよりも身近にあるのではないか。そのような世界に迷い込んだとき、どう振る舞うべきか、そういったリアリティを持って読むことができる。
そして、主人公たちの行動に勇気をもらうのである。
9月9日 蒙古襲来
先週の歴史秘話ヒストリアで、蒙古襲来をやっていた。1回目の襲来、文永の役では、モンゴル軍の、組織だった攻撃に押されながらも、騎射など、日本伝統の武芸を生かして何とか追い払うことに成功する。
そして、2回目の弘安の役では、一般的には、日本を襲った暴風雨(神風)により敵陣は壊滅したといわれているが、真実はそうではなかったことが明かされる。実際にモンゴル軍と激突するのは、暴風雨の後であった。そこで、鎌倉武士は、秘密兵器を投入する。それは、煮た糞尿を入れた壺を舟に投げ込み、その臭気による攻撃であった。テレビ画面では、モザイクがかかったウ〇コ爆弾が投入され、その臭さに苦しむモンゴル兵の姿が描かれている。
私は、この展開に驚いた。モンゴルを追い払ったのは、神風ではなくウ〇コ爆弾であった、と言わんばかりである。番組の意図としては、そのくらい鎌倉武士が知略を尽くして戦ったといいたかったのであろうが、端折りすぎで、ギャグのようであった。
9月7日 台風10号
台風10号が、過ぎ去った。幸いなことに、我が家とその周囲は、少し雨が降り、若干風が強かった程度で済んだ。
事前情報でこれだけ話題となり、これだけ事前準備を入念にした台風は、私の知る限り初めてであった。店頭からはガムテープが消え、ほぼ全ての店舗、交通機関が休業となり、台風に備えた。我が家でも、妻がベランダのものはすべて中に入れ、窓には段ボールを貼り、食料を買い込み、2Lペットボトルの水を凍らせて、万全の対策で臨んだ。
幸運にも、台風の被害は全く無かった。かといって、上記の対応が無駄だった訳ではない。寧ろ良いことである。最悪の事態を想定して行動することが重要で、妻はその行動が実にそつがない。結果として何事もないことは、さらに良いことである。
台風が近づき、過ぎ去る間、ニュースを頻繁に観ていた。災害に関する表現は、ここのところどんどん強くなっている。「これまで経験したことのない災害」「命を守る行動を」などといった表現は、一昔前はなかった。人々の危機意識を呼び起こすことに、政府・メディアも一生懸命である。しかし、こういった表現も、近い将来陳腐化するであろう。そして更に強い表現が生み出される。そんな繰り返しを想像した。
台風が過ぎ去った夕方、子供たちを連れて外出した。少し風が強い程度の、日常に戻った。涼しい風が気持ち良い。あと、ひとつかふたつ、このような台風が来て、本格的な秋の訪れである。
9月4日 ロマサガRS
表題のスマホゲームがある。ロマンシング サガ リ・ユニバースは、スマホゲーム版のロマサガで、一時期少しハマった。中学生くらいのころ、スーパーファミコンで散々遊んだゲームのスマホ版で、私の年代くらいの男子は、ハマる人が多いのではないかと思う。私は、ある時を境にスマホゲームを一切やめ、全てをアンインストールしたため、ゲームはやっていない。
ロマサガシリーズの音楽は、どれも好きである。ロマサガに関しては、ゲームが好きな理由の半分くらいは、音楽が好きだからである。ロマサガRSについては、バトル曲が特に良い。バイオリンソロによる、低音から一気に高音に駆け上がる独特のメロディは素晴らしく、戦闘をやめて音楽を聴いていたものであった。ゲームの戦闘音楽が好きなサチコも、時々口ずさんでいる。
ということで、リコーダーで吹くことにした。冒頭のメロディは、ちょうどアルトリコーダーのほぼ全音域を使い、演奏しがいがある。今回は、MIDIでドラムとベース、コード音の伴奏を作成し、それに乗せる形でリコーダーを吹いた。MIDI伴奏があると、まるでカラオケでもやっている気分になり、楽しくて何度も吹いて楽しんだ。
そろそろカラオケリコーダーも飽きてきたので、ここにアップする。
↓ロマンシングサガ リ・ユニバース リコーダーとMIDI
https://www.youtube.com/watch?v=PeWxFVMMlec
9月4日 詰め物が取れる
昨日から、1週間の休みである。会社の制度上、こういう休みを取ることになっているのだが、特に予定も立てておらず、子供たちも学校があるので、どちらかというと暇でしんどい。
休みの前々日、歯の詰め物が取れた。取れるのは2回目である。もつ鍋を食べた際、モツが歯に引っ掛かり、デンタルフロスで除去しようとした際に、一緒に取れたのである。
実は、この詰め物が取れるのは2回目で、一度目は昨年の大晦日であった。正月に開いている歯医者を探してつけてもらった。前回もデンタルフロス使用時に取れ、フロスは取り除く際、垂直に引き抜くのではなく、片方の手を放してするすると引き抜くのが良いですよ、といわれていた。ずっとその方法でやってきたのだが、モツの肉を取り除くため、つい垂直に力を入れてしまった。
昨日、歯科に行くと、フルコースのもてなしを受けた。歯のすべてのレントゲン写真を撮り、虫歯のチェックを行い、クリーニングをされた。そのついでに、詰め物もつけてくれた。そして、今日は下の歯のみなので、上の歯のクリーニングにも来てくださいと言われた。しばらく歯のメンテナンスをしていなかったので、ちょうど良いと思った。
仕事もなく暇なので、今日も歯科に行ってきた。上の歯のクリーニングを担当してくれた衛生士さんはかなり几帳面な方で、これまでないくらい、丁寧に歯石や着色を取ってくれた。おそらく性格なのであろう。ほんのわずかな汚れも気が済まないらしく、ひととおりクリーニングした後も、入念にチェックし、少しでも汚れているところは再度作業をしていた。昨日終わったはずの下の歯まで再度やってくれた。終盤、このままずっと終わらないんじゃないかと、恐怖を感じ始めたところで、終了した。1時間くらいはやっていた。
これで会計は650円。拍子抜けするほど安い。日本は良い国だと思った。3割負担だとしても歯科医院に入る収入は2000円程度である。かの衛生士さんの収入は大丈夫か、心配になった。
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