2021年
7月のつぶやき




7月31日 真夏の大冒険

 オリンピックのスケートボードで、西矢椛が史上最年少で金メダルを取った瞬間、「13歳、真夏の大冒険!」と実況したことが話題となっているが、これを聞いて子供たちを連れて冒険がしたくなった。7月最後の土曜日、サチコと優一を連れて自転車で遠出をした。目指すは家から8kmくらい先にある、河原の公園である。

 暑くなってからでは体力的にきついので、朝7時出発を目標にした。昼は焼きおにぎり弁当が食べたいということで、私は朝5時に起きて、焼きおにぎりとだし巻き卵を作った。

 7時過ぎ、出発した。優一にはさすがに遠すぎるので、私の後ろに乗せた。道はずっと緩やかな上り坂なので、けっこうきつい。公園の直前はかなり急な登りになっており、大変だったと思うが、サチコはちゃんとついてきた。

 公園に着いて、テントを張って休んでいると、優一がまとわりついてきた。汗まみれの父によくもまあ、こんなに密着できるものである。煩わしいけど可愛い。

 公園では、水着に着替えて川に入った。川の水は冷たくて気持ちいい。下流のほうはごつごつした石が多い河原になっており、上流のほうへ行くと森の中に入り、冒険気分が味わえる。下流では、河原のきれいな石を探して遊んだ。上流では、木々に囲まれた中をじゃぶじゃぶ進むことができ、きれいなトンボが飛んでいる。

 ふと見れば、ひときわ巨大なトンボが飛んできた。日本最大のトンボ、オニヤンマである。サチコも私も自作「おにやんま君」を作ったばかりなので、本物を見て歓喜した。オニヤンマは、堂々たる風格であった。何とか捕まえたいと思って網を振るったが、ことごとく失敗した。オニヤンマは、平気で人の前に止まるが、全く捕まえられない。

 夕方、捕獲をあきらめた帰り道、地面にオニヤンマが止まっていた。虫取り網はサチコが持って先に行ってしまったため、スマホで撮影した。サチコに網を持って戻るように言おうと思ったら、オニヤンマは行ってしまった。まるでオニヤンマが「仕方ないから写真だけ撮らせてあげよう」と言っているようであった。

 帰りは、楽である。基本的に下り坂なので、自転車をほとんど漕がずに家まで帰れる。途中、コンビニでアイスを買って食べた。夏を満喫しているなぁと、しみじみ思った。そして、子供たちがこうして一緒に遊びについてきてくれ、一緒に楽しめるのは本当に幸せだとしみじみ思った。

 次の日、実物オニヤンマを見たことに触発され、おにやんま君の改良に取りかかった。使う材料は同じまま、どこまで近づけるかやってみたかった。その作業は思った以上に楽しく、試行錯誤を繰り返しては何匹もおにやんま君を作った。

 こうして、私の真夏の大冒険は終わった。


左:下流の河原       右:テントでごろごろ


上流の森へ冒険


おにやんま君改良に熱中!


7月24日 でんじろうショー

 今日は、家族で「米村でんじろう サイエンスショー」を観にいった。「でんじろう先生」の名で親しまれている彼は、面白い科学実験を行うことで知られている。これなら、親も子供も楽しめるのではないかと思ったし、特に物理現象の大好きな優一は喜ぶのではないかと思った。

 サイエンスショーは、想像以上の面白さであった。でんじろう先生は、ペーパーブーメランを、広い観客席を一周するように大きく飛ばしてキャッチした。さらに、段ボール箱に丸い穴を開け、中に煙を充満させただけの装置で、ドーナッツ型の「空気砲」を発射した。「空気砲」は、客席をゆっくりと進み、私たちのいる後ろのほうの席まで到達した。まるでCGでも見ているような、幻想的な光景であった。

 さらには、ヘリウムを充填した巨大な袋に人を入れて、声が高くなるようすを見せたり、リコーダーの音は高くなるが鉄琴の音は高くならないことなどを解説していた。最後は、液体窒素をペットボトルに入れて作ったロケットを、客席の一番後ろまで飛ばした。

 そんなショーの中でも、子供たちが好きな「おケツ」「オシッコ」などの下ネタ?を連発したりして、笑いを誘い、大盛り上がりのショーであった。時間も一時間強と、子供が飽きない程度に設定されているのも良いと思った。

 子供たちが、今日観たショーのからくりを理解できているわけではないが、こういった楽しかった記憶はずっと覚えていて、子供の成長に良い影響を与えるといった意味のことを、ショーの最後にでんじろう先生は語っていた。観に来たかいがあったと思った。


7月23日 風の谷のナウシカと坂の上の雲

 私が今まで読んだ中で、一番好きな漫画が「風の谷のナウシカ」(宮崎駿)で、一番好きな小説が「坂の上の雲」(司馬遼太郎)である。最近、これらを読み返している。夜寝る前に「風の谷のナウシカ」、通勤中の電車の中で「坂の上の雲」を読んでいる。

 「風の谷のナウシカ」は、アニメ映画が有名だが、漫画はストーリーがまるで違う。辺境の谷で族長の子として生まれたナウシカが、トルメキアと土鬼(ドルク)という、文化の全く異なる2つの大国との戦いに巻き込まれていくなかで、世界の秘密を明らかにしていく。

 「坂の上の雲」は、明治時代に生まれた松山出身の秋山好古、真之兄弟と、正岡子規に焦点を当てつつ、主に日清・日露戦争を描いた歴史小説である。

 ふたつの作品に共通しているのが、圧倒的な表現力だと思う。「ナウシカ」は、恐らくアシスタントなどはおらず、宮崎駿本人が一人ですべてを描いているように思える。現実には存在しない植物、虫、飛行機などが、実にリアルに描かれている。たぶん、彼の妄想というのは、私たちがするような、ふわっとした曖昧なものではなく、実に精巧になされているのであろう。そして頭の中のイメージを、正確に絵にすることができるらしい。

 「坂の上の雲」は、その下地となる圧倒的な情報量がある。長い小説の中で、一瞬名前が出てくるだけの人物でも、経歴や性格が記され、物語が重層的になる。想像もつかない量の資料をあたり、現地に足を運び、それらを頭の中で情報処理し、それが「小説」というある意味エンターテインメントの形で表現されている。

 両作品とも、簡単に書き上げたわけではないようだ。「ナウシカ」は12年、「坂の上の雲」は10年かけて、書き上げた。

 そして、どうでもいいことだが、両作品ともタイトルに「の」がふたつ付いている。ジブリ作品では、タイトルに「の」が付くとヒットすると言われており、「もののけ姫」は「の」が二連続で付いたので、きっとヒットする、と、宮崎駿が語っていたのをなんとなく記憶している。


7月20日 優一のいない夜

 今夜は、優一が幼稚園の一泊のキャンプに行っており、不在である。幼稚園は、コロナ禍のなか、検討の上お泊りキャンプを行うことを決めてくれた。幼児期において、社会の要請する自粛生活に甘んじ、youtubeやテレビゲーム漬けの日々を送るよりも、たとえ一泊でも共同生活を通じて何かを学んでもらいたい、そこまで考えてくれたかは知らないが、キャンプを行うことを決断してくれたことは、親として嬉しく、決断してくれた幼稚園に感謝!である。

 昨夜の話だが、仕事を終えて帰ると、優一がキャンプのしおりを持って私の足にちょこんと座り、解説してくれた。しおりは、すべてひらがなと数字のみで構成されており、キャンプのスケジュール、注意事項、歌う歌の歌詞などが記されている。まさに、キャンプのすべてが詰まったバイブルである。それをすべて読み上げ、キャンプファイヤーで歌う「キャンプだホイ」の歌を踊り付きで披露してくれた。よほど楽しみにしているらしい。

 そして今夜、家に帰ると、ずいぶんと静かであった。家に帰っても、行儀の悪い食べ方をして母に怒られている人がおらず、「スーパーマリオメーカーーU」でどんな凄いステージを作ったか報告する人がおらず、ビールを飲みながらのんびりしていても頭の上によじ登ってくる人がいない。

 「男子三日会わざれば、刮目して見るべし」という言葉がある。明日、初めて家族を離れて共同生活を終え、帰宅した優一は「ただいま戻りました母上」というかもしれないよ、と妻に伝えておいた。


7月17日 バーベキュー

 土曜日は、妻の高校時代の友人、ミカドン一家とバーベキューをした。ミカドン家が北九州方面ということで、あいだを取って飯塚のサンビレッジ茜でデイキャンプをすることにした。

 当日は雨の予報であり、タープを張ってコンロを準備するころは、小雨が降っていた。肉を焼き始めると、雨はあがり、セミが鳴き始めた。暑すぎず、良い風が吹き、晴天よりも恵まれている天気となった。

 優一の同級生のカケル君は、よく食べ、よく動くためか、がっしりした体つきで、8か月も早く生まれた優一よりも大柄である。冒険心が強く、ひとりで出歩いては、新たな発見をしている、頼もしい幼児である。

 バーベキューを終えたら、そりすべりをして遊んだ。ここは、人工芝スキー場があり、そのわきにそりすべり場が用意されている。

 そりに優一を乗せ、坂まで押せば、予想以上の速さでそりは滑り降りていった。優一はそりの中で固まったまま滑り、やがて停止した。そのままおおはしゃぎで戻ってきて、「ちょっと怖かったけど楽しかった」と言った。

 意外だったのは、ビビリのサチコも結構楽しんでいたことであった。カケル君は、探求心が強く、色々なそりの滑り方を研究しては派手に転んでいた。子供たちは、へとへとになるまで何度もそりを滑った。

 そんなこんなで、思った以上に楽しく過ごし、帰宅した。子供たちも、アウトドアを楽しめるようになった。いつまで続けられるか分からないので、楽しめるうちに楽しんでおきたいと思った。


7月14日 菌と鉄

 表題のマンガを買った。キノコに支配されたディストピアを描いたマンガである。そのキノコの名は「アミガサ」。

 最近読んだSF小説「地球の長い午後」(ブライアン・W・オールディス、1962年)の後半に登場する知的生命体は、「アミガサ」というキノコであった。何億年にもわたる知識を引き継いでおり、主人公の脳を乗っ取って世界を支配しようと乗り出す。「地球の長い午後」は、宮崎駿のマンガ「風の谷のナウシカ」の世界観に影響を与えたといわれる。

 「菌と鉄」単行本の表紙カバーには、「オーウェルの『1984年』を読んで衝撃を受けた」と書かれている。「1984年」は1949年に刊行された、イギリスの作家ジョージ・オーウェルによるディストピアSF小説で全体主義国家によって統治された近未来世界の恐怖が描かれている。村上春樹の「1Q84」は本小説を意識した作品となっている。

 「銃・病原菌・鉄」は、ジャレド・ダイアモンド氏による文明史を描いた書籍であり、現代の文明の姿がいかにしてこのような姿になったのかが、表題のキーワードによるものとして、内容が展開される。具体的には、ヨーロッパ文明が世界を席巻したのは、ヨーロッパに住む人々が遺伝的に優れていたからではなく、偶然の環境要因によるものだということが、示されている。「菌と鉄」と関係ある記述はみあたらないが、偶然の一致にしてはできすぎている。

 このように、「菌と鉄」は、私が読んで少なからず影響を受けた書籍が散りばめられている。そんな理由もあり、発売日に単行本を購入した。読んだ感想としては、世界観を具現化する作者の力不足を感じたものの、作者の「世界を描きたい」という意思はつたわってくる。応援も込めて、購読していこうと思う。


7月12日 靴を買う

 昨日は、久しぶりに靴を買った。3年くらい使っていたスニーカーの靴底が、剥がれかけたのである。それだけであれば、万能接着剤で付ければよいが、靴底の滑り止めも、すり減ってつるつるになっている。

 私は、運動靴はリサイクルショップで買うことが多い。リサイクルショップでは、靴の割引率は特に高いように思う。他人の履いた靴を買うことに抵抗感がある人が多いからであろう。しかし、購入して数回も履けば、その靴は自分のものとなる。選択肢は限定されるものの、自分に合うサイズで、気に入ったものがあれば儲けものである。上記の3年使ったスニーカーも、リサイクルショップで2千円くらいで購入したものであった。

 この日は、3千円のニューバランスを購入した。羽のように軽く、新品で購入すれば1万円以上はするのではないか。新品同様にきれいで、気に入った。良い買い物をしたと思った。


7月11日 母と合奏する

 母と、リモート合奏を楽しんでいることは、以前にも書いたが、久しぶりに曲が完成した。あまり知られていないが、盲目の女性作曲家、パラディスのシチリアーナ(Sicilienne)である。和音が難しいこと、ゆったりした6/8拍子のリズムが取りづらいことなどから、合奏は難航し、半年くらい毎週1〜2回くらい合わせては、ちょっとまだ無理やなぁ、などと話していた。

 先週、「これはいけそうやな」ということになり、母がギターを録音し、それに私がフルートを合わせて完成させた。

↓「パラディスのシチリアーノ」リコーダー・ギター合奏
https://www.youtube.com/watch?v=5ZMqHRRofwI


7月10日 お好み焼きを作る

 私は、料理を作るのが好きである。週末になると、何らかの料理を作って楽しんでいる。今日は、広島焼きを作った。それも牛スジ入りの豪華なやつを、である。昼間に牛スジを煮込んで、それを夜に作った広島焼きに入れたら、絶品であった。牛スジ煮込みを作るだけでそこそこの手間なのに、それをお好み焼きに「具材」として入れるなんて、なんと手間のかかる発想であろうか。

 お好み焼きを作った前段として、サチコが「ヘラでお好み焼きを食べてみたい」と言ったことがある。外食した際に、私がヘラで鉄板から食べているのを記憶しているのであろうか。ともあれサチコがお好み焼きに興味を持ってくれたのが嬉しくて、ステーキ用の鉄の丸皿と、小さめのヘラを購入した。

 サチコのために、小さめのお好み焼きを作って専用の皿に入れてあげると、サチコは喜んでヘラで食べ始めた。お好み焼きの層を崩すことなく食べられるのが嬉しいらしい。美味しいらしく、小食のサチコにしては珍しく、おかわりをした。

 さらに、そんな姉を見て触発されたのか、普段はお好み焼きを口にしない優一も、食べたいと言い出した。彼にはすでに納豆ご飯を準備済みであったが、お好み焼きを一切れ食べて、美味しい、と言っていた。

 幸せなひとときであった。これまで、私がお好み焼きをひとりで作り、焼きあがったころに家族がやってくる感じであったが、今日は、家族が見守る中お好み焼きを焼き、美味しい美味しいと言って食べてくれる。一日かけて準備した甲斐があった。


7月1日 キャンプへ

 先週末の話だが、初めて家族で一泊のキャンプをした。場所は、5月にデイキャンプをしたグリーンパル日向神峡である。家から車で1時間くらいであり、割と近い。

 昼頃に着いて、テント・タープを設置した後、先日サチコと作った自作「おにやんま君」を吊るした。吊るしていない場合との比較はできないが、それほど虫に悩まされることはなく過ごせた。サチコは、私が釣具屋で買ってきた既製品の「おにやんまスティック」を頭に着けて楽しんでいた。

 昼食は、カセットコンロでお湯を沸かしてカップラーメンを食べた。その後、近くの川で遊んだ。子供たちと川に入り、魚を捕まえようとしたが、すばしっこくて捕まえられない。代わりに、トンボを捕まえた。イトトンボの仲間で、羽がオレンジ色でしっぽが緑色に光る、きれいなトンボが捕れた。

 そんな風にして夕方まで過ごし、テントまで戻ると、雨が降ってきた。テントの中で雨の音を聞くのもなかなか風情があって良い。雨は、2時間ほどで止み、バーベキューを始めた。その後、焚火をしながら、花火をして、就寝した。

 朝は、飯盒で米を炊いて、カレーを食べたら、少し散歩をして撤収した。昼頃には家に着き、テントを干したり、片付けをしたりした。

 なかなか楽しい一泊二日であった。家族でこういうことをしてみたい、思っていたことが実現したと思った。いつもIpadやテレビゲームに夢中の子供たちも楽しんでくれ、満足の二日間である。つきあってくれた妻にも感謝である。


左:テントを張り終えくつろぐ優一    右:おにやんまスティックを身に着けるサチコ


左:川で遊ぶ    右:捕まえたカワトンボ。緑の光沢が美しい


花火を持って踊り狂う父と娘


二日目の朝の散歩にて



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