2024年
7月のつぶやき
7月30日 血尿が出る
月曜日、会社に着いて用を足していると、尿の色がおかしいことに気付いた。特に痛み等の症状は無い。職場の人に話すと、会社のすぐ近くに泌尿器科があるから、診察してもらった方が良いと言われ、仕事を抜けて行ってきた。
午前の診療終了間際であったので、エコー検査をして異常が見つからないので、午後にもう一度来てもらい、尿管にカメラを入れて膀胱まで診た方がよいと言われた。そこでも異常が無ければ、腎臓を疑う必要があるという。カメラを入れるのは結構痛いですよ、という。
私は、ちょっと疲れが溜まってるだけですね、とか言われて、薬を処方されて帰ってくることをイメージしていたので、うろたえた。そんな考えただけでも痛そうな検査はなんとかパスして逃げたいと思ったが、情熱的な先生に押し切られ、午後にもう一度行くことにした。
検査は、事前に言われていた通り、痛かった。モニターに映った私の膀胱内部は、確かに出血している部分があり、ここが原因ということが判明した。色々説明してくれるが、それよりも早くカメラを抜いてくれと思いながら聞いていた。
その後の説明で、出血している場所は分かったが、なぜ出血したのかは分からないので、とりあえず止血剤と抗生物質を飲んで様子をみましょうということになった。そして、一か月間激しい運動、アルコール、辛い食べ物などを控えたうえで、血尿が再発したらすぐに来院すること、そして例え再発しなかったとしても、1か月後にもう一度カメラを入れて検査します、ということになった。
私の気持ちは沈んだ。この夏、ビールも飲めず、キムチも食えず、その上またあの痛い検査をしなければならない。血尿が収まればそれでいいじゃないかと思うが、そういうわけでもないらしい。
ここは気持ちを切り替えて、早めに受診して良かったと思うしかない。一連の検査で、重篤な疾病が早期発見できればラッキーだし、1か月後に検査して何もなければ、それはそれで安心できる。私は一家の大黒柱として、家族を養わなければならず、ここで死ぬわけにはいかない。念には念を入れて、健康でいなければならないので、痛いから嫌だとか言っている場合ではないのである。とりあえず、カメラ検査以降は、血尿は出ていない。
7月22日 山へ
今日は、子供たちを連れて宝満山を登山した。宝満山は、山頂までのルートが多くあり、今回は「裏宝満」のひとつ、猫谷川新道を通るルートをたどることにした。猫谷川新道は、沢沿いを通ることから、夏山でもある程度涼しいだろうと思う一方、岩場をロープで登る難所もあり、子供たちがついて来られるか心配であった。
出発してすぐ、優一が転んで膝を打った。引き返そうかと思ったが、痛みは引いたとのことでそのまま進むことにした。沢を何度か渡りながら、夫婦滝、黎明滝などを見ながら進む。ロープを使って登る岩場も、私が手助けしながら登ることができた。

夫婦滝。今日は水量が多いので、4本流れている。大きい順に、父ちゃん滝、母ちゃん滝、サチコ滝、優一滝、と勝手に名付ける。

ロープを使って岩場を登る。写真では分かりづらいが、かなり急である。
途中、男道、女道の分かれ目で、難易度の低い女道を歩いたあたりが私にとっては一番きつかった。登山アプリ、YAMAPのルートを外れ、踏み跡も不明瞭な中、歩いている道が合っているのか分かりづらい。何度か難所を通り、子供たちも疲れてきている。焦らず落ち着いてと、自分に言い聞かせながら進み、なんとか元のルートに戻ったときは安心した。
その後、釣舟岩、剣窟のルートは巨大の岩の割れ目を進む、冒険気分満載のルートである。これを抜ければ、ゴールのキャンプセンターまでもう少しである。

剣窟。狭い岩の割れ目の間を通り抜けるルートは冒険気分満載。
ゴールのキャンプセンターでは、サチコの「山頂でカップ麺を食べたい」という希望により「ブタメン」を食べた。このために、私のリュックにブタメンと魔法瓶にお湯を入れて運んできた。夏山だから暑くて食べる気にならないんじゃないかと思ったが、思った以上に美味しく、汗をかいていることから塩分補給にもなった。

ブタメンを食べる人たち。
下りは「大谷尾根道」を通って帰った。行きに比べると、歩きやすく1時間少しで戻ることができた。ブタメンを食べて休憩した子供たちは元気を取り戻し、無事に戻ることができた。コースの難易度も全く違い、行きが登りが2時間52分に対し、帰りは1時間12分であった。
家に帰れば、子供たちは普通にゲームをしたり、宿題をしたりして過ごしている。私だけが疲れてぐったりしている。我が家の子供たちは思った以上に体力がある。帰り道が歩きやすいと、子供たちが思うこと自体がすごいと思った。登りは、大人でも難しいルートであり、下りも、歩きやすいとはいえ、初心者が歩くような場所ではなく、それなりの山道である。
日頃、それほど運動しているようにも見えない子供たちだが、ずいぶんと体力があるなぁと思った。
7月20日 小倉祇園太鼓
今日は、学生時代の友人、シゲオが来るということで、北九州まで小倉祇園太鼓を観に行った。
私と小倉祇園太鼓のつながりは、2007年まで遡る。大学を卒業してしばらくして、有志で和太鼓を再び叩きたいということになり、お金を出し合って太鼓を購入し、「太鼓大好会」という会を設立した。せっかくだから、学生時代にはできなかったレパートリーに挑戦しようということになり、当時、「関東無法松会」という会を運営していた長谷川先生のところに、シゲオと小倉祇園太鼓を習いに行った。その後、妻の友人の旦那のエグチさんが、小倉祇園太鼓の打ち手であったりして、色々とかかわりを持つようになる。
2008年7月、初めて小倉祇園太鼓を観たときのことは、忘れられない。小倉駅を降りれば、太鼓の音が鳴り響き、テンションが上がった。町内会とヤンキーの若者たちがまじりあい、無法地帯のようになりながらも、怖い警察官が取り仕切っている。絶妙なバランス感覚がたまらなかった。
2024年の今日、昼過ぎにレンタカーを駐車場に停めて車を降りれば、太鼓の音は全く聴こえてこなかった。シゲオによれば、太鼓は夕方5時からだという。小倉祇園太鼓は、以前よりも行儀よくなっていた。5時と言えば、レンタカー返却に向けて帰路につかなければならない時間帯である。仕方なく、旦過市場のあたりをうろうろしていると、山車が動き出し、太鼓が始まった。
東南アジアの市場を思わせる、暗くて狭い、ディープな雰囲気の旦過市場の中を、山車がギリギリの車幅で練り歩きながら太鼓が鳴り響いている。私の心はうごかされた。人は、この世に生まれ落ちた瞬間に、あらゆる可能性の中のひとつを授かることになる。私には、ふるさとと言えるような場所は無いが、彼らは生まれたふるさとで育ち、絆を育む。面倒なことも多々あろうが、それを持たない私には、いくら望んでも得られない尊いもののように思える。
小倉祇園太鼓を間近で見られたのは、このときだけであったが、満足した。シゲオは、長谷川先生と2泊しながら町内会で叩くとのことであった。
7月20日 ヒストリエ
岩明均氏の漫画「ヒストリエ」の12巻がついに発売された。「ヒストリエ」の舞台は紀元前、アレクサンダー大王の書記官、エウメネスの生涯を描いた歴史漫画である。岩明均氏は、10代のころ、「寄生獣」を読んで衝撃を受けて以来、その全ての作品を愛読している。
岩明均氏の筆は、遅い。「ヒストリエ」の1巻が出たのが2004年であるから、平均しても1年に1冊も出ない。その筆は年々遅くなり、今回12巻が発売されたのは、なんと5年ぶりである。しかも、12巻の発売後、長期休載のお知らせが出た。無事に完結するのか、どきどきする。
5年ぶりなので、あらすじも覚えておらず、改めて1巻から読み返している。改めて、その完成度の高さに驚く。グロい描写も多いので、好みは分かれるだろうが、一コマ一コマの絵が、うっとりするほど美しく、完璧な構図で描かれている。ストーリーもオリジナリティに加えて独特のユーモアがあり、全身全霊をかけて漫画を描いていることが伝わってくる。
何とか完結まで読みたいものである。
7月7日 ひみつの森のライオン
毎週日曜日の夕方、子供たちと電車に乗って太鼓の練習に通っている。電車のなかでの恒例行事が、スマホアプリの「どうぶつしょうぎ」である。「どうぶつしょうぎ」は、3x4マスの中にひよこ(歩)、ゾウ(角)、キリン(飛車)、ライオン(王将)を配置し、将棋のようなルールでライオンを獲ったほうが勝ちとなる。シンプルながらなかなか奥深い。
スマホアプリの「どうぶつしょうぎ」は、細かくレベル分けが設定されており、簡単な順に「やさしい森」「あかるい森」「たのしい森」「ふしぎな森」「てごわい森」がある。更に、それぞれの森には易しい順に「ひよこ」「いのしし」「うさぎ」「ねこ」「いぬ」「ぞう」「きりん」「ニワトリ」「ライオン」がいる。
そして、これらの中で最も難しい「てごわい森のライオン」を撃破すると、「ひみつの森」に行くことができる。「ひみつの森」は、他の森と違って一度でも負けると消滅してしまう。そこには「ひよこ」「うさぎ」「いぬ」「ぞう」「きりん」「ニワトリ」「ライオン」がいるのだが、これらを連勝するのはかなり難しい。大抵は「うさぎ」か「いぬ」あたりでやられてしまう。
今日の帰り、神懸った精神力により、「ひみつの森のライオン」まで辿り着いた。「ニワトリ」以降は、子供たちも緊張し始める。ライオンとの激戦の途中で最寄り駅に着き、続きは家に帰ってからとなった。優一は、「ひみつの森のライオン」に勝ったら何が起こるのか、ワクワクしている。そしてついに、家に帰り家族が見守る中、「ひみつの森のライオン」を撃破した。そこで現れたのは、「おめでとう!」「いちばんつよい『ひみつの森』の『ライオン』に勝ったよ!!」という賛辞の言葉とともに「ここから先はライオンと何回つづけて勝てるかちょうせんしてみてね」という無間地獄への招待状であった。
結局、「ひみつの森のライオン」には二連勝して終わった。初めて「どうぶつしょうぎ」を制覇でき、満足の一日であった。
7月4日 自転車が故障する
下に書いた、買い替えた自転車だが、通勤中に故障した。三段変速のギヤが上手く切り替わらず、2速にすると1速に、3速にすると2速になる。おまけに、ギヤの噛み合いが悪く、漕いでいると突然ペダルが固まったり、ギヤが外れたようにガコガコ異音がするようになった。うまくハマったところで慎重に漕げば、なんとか運転できるので、数日は通勤し、本日閉店前の自転車屋に持ち込んだ。
私は、いわゆる「町の自転車屋さん」の雰囲気が好きである。いつから置いてあるのか分からない部品類、整理整頓の行き届いていない工具類、ほんのりした油の匂い等、何とも言えない安心感がある。店長が、自転車を診てくれ、内装変速機の初期不良という結論となった。すると、店長のお父さんと思われる爺さんが現れ、おもむろに私の自転車を診始めた。そして、ペダルに異常がありそうだと主張し、私の自転車を分解し始めた。その後、チェーンの張り過ぎだと主張した。息子は、内装ギヤが原因だと主張するが、爺さんは聞かない。爺さんは、しばらく私の自転車を診た後、「ギヤが怪しい」と言った。息子は、「だから始めからギヤだって言っとろうが」と言って、修理中の私の代車を用意してくれた。
今回故障していると思われる、いわゆる「ママチャリ」の三段変速機能は、「内装変速機」という機構である。私は、子供のころから、このママチャリの三段変速の仕組みが不思議でならなかった。マウンテンバイク等に搭載されている「外装変速機」は、後輪に直径の異なるギヤが複数配置され、チェーンがどのギヤと噛み合うかでギヤー比が決まる。外装変速機の原理は、小学生でも分かるほど簡単だが、内装変速機の仕組みは、滅茶苦茶難しい。
今回の故障を機に、内装変速機の仕組みを改めて調べた。シャフトに固定され中央部で回転しない「太陽ギヤ」、その周囲を自転しながらかつ公転する「遊星ギヤ」、遊星ギヤの更に外側に内向きに歯が配置された「リングギヤ」により、遊星ギヤとリングギヤの速度差を生みだし、ペダルのトルクを伝達する順序を組み替えることで、3種類の変速が可能となる。今回は初期不良で故障してしまったが、内装変速機はその複雑な機構のわりに、堅牢で故障しにくいと言われる。
普通の自転車だが、こんなにすごい技術が後輪に搭載されていると思えば、運転時もなんだかわくわくする。
7月1日 透けて見える
漫画「鬼滅の刃」の終盤、上弦の鬼、猗窩座(あかざ)と戦う主人公・竈門炭治郎は、突然に「透き通る世界」を手に入れる。そこでは、相手の体が透けて見え、臓器の位置、血管内の流れ、筋肉の収縮が可視化することで相手の動きを捕捉し、戦いに打ち勝つことができた。その後、この「透けて見える」力により、宿敵・鬼舞辻無惨がその内部に7つの心臓と5つの脳を有していることを知り、勝利につながる重要な役割を果たす。
この「透けて見える」能力というのは、一見、荒唐無稽にみえて、重要なメタファーを有している。その道のプロとして仕事をしていれば、誰でも「透けて見える」世界というのを持っているのかもしれない。
私は仕事柄、スーパーに並んでいる商品のパッケージをみれば、それがどんな材質でどんな厚みのフィルムがどのような方法で積層されているかをイメージすることができる。それが製造されている風景も、ありありと想像できる。私にとっては当たり前でも、多くの人にとっては「透けて見える」世界かもしれない。
建築に携わる人であれば、私には見えない建物の内部構造が「透けて見える」だろうし、医師であれば文字通り患者の体が「透けて見える」はずである。私の腰痛を治してくれた整骨院の院長は、私の体を少し触っただけでピタリを症状を言い当て、適切な施術により治療してくれた。
鬼滅の刃の「透けて見える」感覚は、仕事をしている大人であれば誰でも有している感覚を描いたものではないかと、最近読み返して思ったので、ここに記録しておく。
7月1日 自転車を買う
6年以上乗っている自転車を、買い替えた。自家用車を有していない私にとって、自転車は毎日の通勤の他、子供たちと出かける際も活躍する重要な移動手段である。自転車の利用は、私が圧倒的に多く、この6年でもペダルやタイヤなどを買い替えながら、なんとか使ってきた。とは言っても、特に高級な自転車ではなく、普通のいわゆるママチャリである。
先日、ペダルのガタが酷いので、仕事帰りにお世話になっている自転車屋さんに寄ったところ、増し締めはしてくれたものの、そろそろ買い替え時期ですね、と言われた。案の定、数日でペダルのガタは出てきてしまったので、買い替えることにした。
なんだかんだ言っても、ママチャリが便利である。今回は、1サイズ大きい27インチで、三段変速が付いたタイプにした。自転車屋さんによれば、ペダルの部分が強化されており、より頑丈だという。
乗り心地は良い。ついでに、レインウェアも劣化し、雨が染み込むようになったので、買い替えた。梅雨の時期、新しい自転車と新しいレインウェアで通勤すれば、雨でも気分は上々である。
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