無伴奏混声合唱のための「十の詩曲」より 十番


作曲 W.ホイットマン
作詞 D.ショスタコーヴィッチ




死せる者に涙持て悲しむをやめよ

強く立ちて進むもの

受けてよ我が歌

倒れし者過ぎし日の歌を歌わしめん

胸に燃え立つ炎は 怒りを秘めつつ

涙ぬぐい戦士等の勲称えつつ

固き腕差し伸べて 我等誓い立てん

倒れし友の心継ぎ 我等築き上げん

世界の幸求めつつ 固き礎を

世界の幸求めつつ 固き礎を

眼高く悲しみの 霧の彼方見よ

夜明けすでに近づきて 沸きあふるる歌

行け我が歌流れゆけ 高く流れゆけ

若き力栄えあれ 進め若者よ

飛びゆけ歌天駆ける 自由の鷲のごと

働くもの栄えあれ 自由の鐘響く

ゆけ我が歌いや高く 闘いの中に

すべての命育みぬ 母なる我が大地

峰を越えて海越えて 友よ手を結ばん

喜び満ち 春もはや我等共にあり

雪は深く地に満ちて 河も凍るとき

大地深く生きずける 若き命見よ

聞け彼方の山並みを どよもす雷

すでにも春は近づき 湧き上がる歌よ

清かに朝風は吹き よみがえる調

小川の水は青みて せせらぎは歌う

花咲く春とともに 

大空高く 我等導く歌声よ

響き渡れいざ

我等導く歌声よ

響き渡れいざ





この歌は私が今年になって触れたただひとつの合唱曲です。民研の技術部合宿に参加したときに少し歌いました。だからこの曲について詳しいことはよく分かりません。知っているのは、十の組曲のうちの最終章であること、ロシア革命時に歌われていたらしいということくらいです。

 実はこの歌を歌ったとき、私はあまり好きになれませんでした。やたら長くて疲れるだけで、面白みのない曲だなあと思っていました。しかし、夏ステで完成した曲を聴いたときに、私は大きなショックを受けました。延々と続く強引な転調に、変拍子、そして極めつけの3連符、およそ音楽的とは思えないこの曲は、音楽というより、エネルギーの塊のような気がしてきました。革命という異常な状況下においてしか生まれ得ない音楽だと思ったのです。日本風に言えば、盆と正月が一緒に訪れたような曲だと思いました。曲に「これでもか」というくらい徹底した想いが込められているような気がします。当時のロシア人は、今の私には想像もできないような想いを持って、この曲を歌ったに違いありません。

 このMIDI演奏は、「MIDI演奏でいかに音楽的なふくらみを持たせるか」というテーマのもと、打ち込んでいきました。音量とテンポを細かく揺らして生演奏のようにできたら面白いだろうなと思ったのです。しかし、いざ打ち込み始めると、予想以上に長く、こんな決心をしたことを後悔しました。それでも根気よく打ち込んで、無理やり完成させて出た結論は、「人間の声には勝てない」ということでした。そして、疲れた後に、歌詞を全部打ち込んだところ、延々と続く重い歌詞に「やめてくれー」と悲鳴をあげそうになりました。

 それでも一応かなり苦労して作ったので、感想など頂けたら幸いです。

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